有償運送許可基準の改正が9月1日から実施されることに伴い、指定事業者団体による研修会が始まった。実施したのは全日本高速道路レッカー事業協同組合(JHR)と全国ロードサービス協会で、両社とも8月から9月にかけて全国主要都市を巡回して開催、この第一段階で受講予定者数は500名を超える見通しだ。
遵法の新規参入、支援するのは…
今回の有償運送の許可基準の改正にはいくつかあいまいな点がある。まず、許可を得るための研修や指導の受講を実施するのは「国土交通省の指定する事業者団体」とあり、この指定基準はロードサービスに関連する全国組織となっている。現在指定を受けているのは5団体だが、希望する団体は増えている。全国組織の基準、法人格、そして指定する団体の数などは明確になっていない。
ロードサービスの市場は大きいとは言えないが、それに関連する業種は実に幅広い。整備、修理、解体などの兼業が主体で、むしろ専業の方が少ない。となると関連する業界団体には、日本自動車整備振興会連合会(略称:日整連):自動車整備事業を営む約9万2000事業場、日本自動車車体整備協同組合連合会:6400社、日本自動車販売協会連合会(ディーラー):1615社・事業所数1万6535などが予備軍として上がってくる。これらの団体を指定するのか、また団体が指定を希望するのかは不明だが、たとえば既に指定を受けている団体が、これらの組織にアプローチして、研修を実施することも考えられる。
新規参入、事業者の増加によって競争の激化が懸念されるが、逆に高速道路会社やJAFにとっては、業務委託先の有償行為がほかの業務にも活用できることになり、専任性が薄れることになる。
指定団体が、受講者を外部からも受け入れるかどうかということも大きな問題だ。現在オープンに受講者を募っているのは今のところ1団体だけだ。研修を実施する団体として指定を受けているのだから、その実施内容についても地域や規模、回数などのガイドラインが必要と思われる。外部から受け入れるというのも、受講者を公募するのと、一定の条件を満たす者(たとえば〇〇保険の代理店。これには上記のディーラーも含まれる)を囲い込んで実施するのでは意味合いが全然違う。(以下は本誌で……)
9月から実施 研修受講、保険加入が許可取得要件
国交省 事故車排除業務の有償運送許可対象を改正
国土交通省は、このほど「車積載車による事故車等の排除業務」について、9月1日より有償運送許可の対象を変更すると発表した。新しい許可対象とは、1.同省が指定する団体が実施する研修や指導の受講2.自動車保険加入の2要件。この要件を満たすことによって許可が取得できることになり、現行に比べて取得機会の平等化が図られたことになる。一方で、現在の許可取得者も更新期以降は新基準を満たさねばならないことになる。同省が指定する団体とは現在5つで、うち2つが、研修・指導を一般開放することを表明しており、9月前に実施する計画。
国交省が示した許可対象の変更は、本年3月初旬に「事故車等の排除業務に係る有償運送許可の取り扱いについて」の案として示された。関係機関の震災の対応で処理や手続き、関係者への周知などが、当初の計画より遅れ9月から実施されることとなった。この内容は以下の通り。
<道路運送法の根拠条文>
第七十八条 自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう。以下同じ。)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならない。
一・二(略)
三 公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき。
<改正後の許可対象>
■下記の全ての要件に該当する事業者が使用する車積載車
○国土交通省が指定する団体(別掲)が実施する研修及び指導を受けていること。
○車積載車の運行により生命又は身体の損害を受けた者一人につき、保険金額5000万円以上の損害賠償責任保険契約等を締結していること。
<研修・指導等を実施する団体>
〇一般社団法人日本自動車連盟(JAF)
○全日本高速道路レッカー事業協同組合(JHR)
○一般社団法人全国ロードサービス協会
○BSサミット事業協同組合
○全日本ロータス同友会
(※上記5団体のうち、JHRとロードサービス協会は研修・指導に一般も受け入れる。住所、TELを表示した)
<許可対象となる排除業務の内容>
○搬送する物の種類
道路上の事故車及び故障車
○搬送区間
原則として有償運送許可を受けた運輸支局(運輸監理部を含む。)管内にある道路上の現場から、最寄りのディーラー、整備工場、車両置場等まで
有償運送のこれまでの許可対象は、1.高速道路会社、2.警察、3.日本自動車連盟以上三者の請負業務実績のある事業所(例えばNEXCO協定会社、JAF指定工場など)であった。
本誌3月号では、新しい許可対象は、上記3つの要件に加えて「4番目の道を拓くもの」としたがこれは誤りで、3+1ではなく、現行の3が新しい1に統一される。これは警察や道路管理者にも周知されている。
また「許可基準緩和へ」も適切な表現でなく、「厳格化を図る」(国交省)ということになる。ただ、これまでの公的な管理者や一部法人との契約という要件が取り払われたわけだから、許可申請の対象は広げられ、機会均等になった。
上記の指定する5団体とは、これまでヒアリングを続けてきて選定した全国組織。固定ではなく、今後追加することもあり、また違反した場合は、取り消す(一括申請を認めないなど)場合もある。
また、団体が実施する研修・指導等の内容もチェックしており、例としては以下のような内容が盛り込まれている。
「許可条件」等排除業務の趣旨/排除業務作業中および車積載車の運転中の安全対策/ハイブリッド車当特別な注意が必要な車両の取り扱い/関連法規について
などで、大体において修了試験のようなものを実施するかどうかは任意。
研修時間はおおむね1日(例10:00〜17:00)というラインが示されているが、受講料金については関与しない。また研修受講を一般(非組居合員、非会員)に開放するのは現状2団体だけだが、国交省としては他の団体にも一般開放を呼びかけていく。
このほか、許可期間は、許可日から1年間、許可台数の制限はないなどは現行と同じ。
今回の施策は、許可対象の変更であるから、現在の許可取得者に関しては注意が必要だ。今年9月以降に許可期間が切れる場合は、2つの要件を満たさねば更新できない。もっとも、これまでの許可は厳密に言うと、道路管理者やJAFの関連で取得していたとすれば、その関連業務にしか使用できなかったわけだから、アシスタンスの要請など広範囲に適用できる新要件を取得することは法遵守、業務拡大にもつながる。
保険加入は別として研修は更新期限の前1年の間に受講し、申請しなければならない。ただし、研修は団体の任意開催であり、許可を継続して取得していくためには、開催日や場所、受講から申請まで、申請から許可までにどのくらいの期間(タイムラグ)が必要なのかをチェックしておかなければならない。
研修を一般公開するのは、JHR(TEL:03-5414-1886)と全国ロードサービス協会(TEL:0570-063630)のの2団体で、JHRは8月3日東京会場で開催、全国ロードサービス協会は以下の概要で開催する。
<有償運送許可研修案内>
(1)平成23年8月1日(月) 名古屋会場 9:00〜17:00 定員30名
(2)平成23年8月3日(水) 東京会場 9:00〜17:00 定員30名
(3)平成23年8月8日(月) 大阪会場 9:00〜17:00 定員30名
※会場の詳細に関しては、個別に案内。
■受講費用:(テキスト代・申請費用一台分含む)※現地清算
全国ロードサービス協会会員(一般会員・正会員):¥15,000円
ロードサービス保証加入者:¥15,000円
非会員:¥25,000円
※追加申請 1台に付き会員:¥3000円:会員以外:¥5000円
※更新費用 会員:¥5000円 会員以外:10,000円(申請費用含まず)
既存のネットワークの数は減らさず、質高めたい
合併に向け協議 安心ダイヤルとインターパートナー
10月28日、アシスタンス会社大手の安心ダイヤルとインターパートナー・アシスタンス・ジャパンは、合併に向けて協議を進める事で合意に達したと発表した。来年10月に新会社設立を目指すもので、ロードサービス手配件数ベースでは日本最大規模のアシスタンス会社が誕生することになる。協議を進めていく2社の首脳(安心ダイヤル・依藤司社長、インターパートナー・アシスタンス・ジャパン・坂井優社長)にインタビューした。
ネットワーク(業務依頼先のレッカー・ロードサービス会社)に対する考え方として「両社のネットワークを踏襲することになる。現状、当社ではネットワークをランクで分けているが、この制度も継続していくことは両社で合意している。ただ、何をポイントにするか、新会社のネットワークに対する品質認定基準は現在作成中である」とした。
また、両社の自動車関連業務におけるネットワーク数は、安心ダイヤル約2800、インターパートナー約2000で、このうちダブリ(両社共通)のネットワークは1000強になるが「ネットワーク数が増えたからといってそれを絞り込む、その数を減らすことに意味はないと考えている」という考えを示した。コールセンターも、既存5拠点体制を維持していく方向。
さらに、業務効率化の施策として、直営による業務実施に関しては「直営により業務をするつもりは全くない。直営でできる業務をネットワークの皆様にやっていただければいいことであって、そのための努力はもちろんしていかなければならない。環境、時代も変わっていくので、将来的なオプションとしてならばあり得るかもしれないが、例えばクライアントに、現状では困ると言われないようにするためにも、レベルアップを続けていくことが重要だと考えている」としている。
自分たちの事は自分たちで決める
(JHR第10回総会で佐藤正良理事長の挨拶=抜粋)
昨今、大きな話題となっている、作業料金の適正化を図るための活動が今後のレッカー業界存続のため必要不可欠の問題である。組合員も承知の通り、関東支部、中部支部の組合員のから、株式会社レスキューネットワークの新料金体系について意見があった。これを受け、5月26日、レスキューネットワークの武井社長、吉田部長、当組合三役、関東支部長、中部支部長、業界部会長と会談した。基本料金1000円という驚く金額設定の根拠、背景を確認し、ならびに、我々の業務の意義、現料金と新料金の差額等を誠心誠意訴える時間を持った。
結論として、6月1日から予定されていたレスキューネットワークの料金改定はJHR組合員に関しては全社、従来通りの料金体系で行うことになったことを報告する。
今後、レスキューネットワークと当組合の料金問題委員会を窓口とし、適正料金分科会を設置し、協議を開始することになった。
組合員のなかには心配する声もあったが、分科会を設置することができたことは大変意義あることと思っている。
また、今回の決定により、組合員の仕事量が減少することがないという点も確認した。
来月早々より、分科会を開催し、建設的に話し合いを続けていくので、是非、支部会において忌憚のない意見交換をお願いしたい。我々役員一同も支部会に出席し、詳細に説明したい。
このように、組合員一同、レッカー業界が一体となり勇気ある活動が重要であることを認識し、この難局を一致団結し、互いを信じ、頑張って参りたい。
自分たちのことは自分たちで決定する、という強い意思を持った業界に成長するためには、全組合員の思い、行動、意識付けをひとつにすることが必要であると痛切に感じている。
特集 レッカー産業の位置づけと規模
●ひとつの社会認知−日本標準産業分類
存在しない「ロードサービス」
「日本標準産業分類」は、日本におよそ650万社ある企業や事業所における産業の範囲を特定し、国勢調査などの結果を産業別に示すために用いられる。
事業所の「産業」の決定は、その経済活動によって決定するが、複数の経済活動が行われている場合は、主要な経済活動(過去1年間の販売額または収入額の最も多いもの)により決定する。
産業分類は、大分類、中分類、小分類、細分類からなる4段階のツリー状構成であり、最新の第11回改定(平成14年実施)では、大分類:19、中分類97:、小分類:420、細分類:1269となっている。
大分類はアルファベットで分かれ、AからDが農林水産業などのいわゆる第一次産業。E〜Fが第二次産業。G〜Qのサービス業が大分類でのレッカー業の居所である。大分類のLが「サービス業」で「自動車整備業」はここに含まれる。ここに分類されないのがQで「他に分類されないサービス業」となる。
中分類は二桁の数字で表され、Q−90に「その他の事業サービス業」がある。小分類は三桁の数字となり、Q−909に、またしても「他に分類されない事業サービス業」があり、この中のQ−9099「他に分類されないその他のサービス業」があって、ようやく「レッカー事業」はここに存在する。ちなみに9099に分類される『同業』をいくつか紹介すると「新聞切り抜き業」、「鉄くず破砕請負業」、「集金業」、「取り立て業」、「陸送業」、「温泉供給業」、「箔押し業」(印刷業とは別)、「圧縮ガス充填業」(液化天然ガス、液化石油ガスもある)、「プリペイドカード等カードシステム業」、「トレーディングスタンプ業」などの20業種。
●保有台数から市場規模の推測
日本の自動車保有台数は(16年度末)7548万3000台で、このうち稼動している車両85%とすると、6340万台になる。
日本自動車連盟(JAF)のロードサービス対象台数は1747万台と推定。年間の出動件数はおよそ300万件で、このうち、非会員向けのサービスや重複分(2台出動など)を15%とすると、255万件となり、これを対象台数で割ると、1台あたりの出動比率は15%ということになる。
軽を含む乗用車の保有台数は560万台。これに出動比率を掛けると、5600万台×15%=840万件となる。故障比率85%、事故比率15%とすると、故障は714万件、事故は126万件になる。
作業料金の単価を故障出動8000円、事故出動15000円で計算すると、
故障:741万件×8000円=571億2千万円、事故:126万件×15000円=189億円、合計760億2千万円になる。
トラック・バスについては上記の741万台をベースに全車稼動とし、出動比率15%とすると出動件数は111万件になる。故障:事故の比率も同等として計算すると、
故障=95万件、事故=16万件で、作業料金の単価は、故障15000円、事故40000円とすると、故障:95万件×15000円=142億5千万円、事故:16万件×40000円=64億円、 合計206憶5千万円になる。
先ほどの乗用車と合わせると、966億7000万円の市場規模ということができる。
そして、JAFとアシスタンスで50%シェアということを考えると、この市場(という表現を使うが)はまだまだ取り込む余地があることになる。